Lets go to the Movie Theater 3月号『顔のないヒトラーたち』『ハンナ・アーレント』

スクリーン3『顔のないヒトラーたち』(2015

 

上映期間:35日(土)~318日(金)


 

 気温の寒暖差に春の到来を感じる季節になりました。もうすぐ桃の節句。華やぐ節目をお迎えできることを願っております。

 さて、今回ご紹介する映画は、『顔のないヒトラーたち』。ちょっと物々しい題名からは意外かも知れませんが、娯楽作品としても楽しめる映画です。若き検事官ラドマンが、様々な困難に立ち向かいながら実直に仕事をする姿や、マレーネとの恋の行方、また、新たな友情や職場の同僚たちとの絆を描いています。しかし、物語の核にあるのは、当時のドイツの若者たちが、アウシュビッツという強制収容所で何が起きていたのかを知らないという事実。ドイツという国が、「消された罪、消せない記憶」と真摯に向き合い、誇りを取り戻そうとしたかを描いた作品です。監督はドイツ在住でイタリア出身のジュリオ・リッチャレッリ。食事とお酒のあるシーンで満ちていることや、ラドマンとマレーナの恋模様を粋な会話劇で見せるなど、イタリア人らしいエッセンスにあふれていています。

 スクリーン3『ハンナ・アーレント』(2013

 

上映期間:35日(土)~318日(金)


 また、『ハンナ・アーレント』との再上映もおこなわれます。『顔のないヒトラーたち』では、マレーナ役を演じたフリーデーリーケ・ベヒトが、若き哲学者アーレントを演じている点にも注目。こちらの作品は、全国のミニシアター上映で大変好評を得た作品です。

 主人公アーレントが、ホロコーストに関与したアイヒマンを擁護したと誤解され、大学から辞職するようを告げられるも、彼女は断固拒否します。そして学生たちへの講義のなかで、「悪の凡庸さ」について持論を訴えます。人間の弱さを鋭く突き、批判にさらされながらも毅然と生きた彼女の姿が見所です。

 

 映画ファンの皆さんには、戦後70年を迎えたドイツが、過去の責任をどのように理解し果たしてきたのか、両作品からその一端を垣間見つつ、さらに映画のもつ面白さを味わえると思います。アカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ海外の映画祭で高く評価されています。どうぞお見逃しなく!

                          (出町光識:朝日まつど新聞2016年3月1日)