Lets go to the Movie Theater 5月号『さざなみ』『ぐるりのこと。』

  五月のゴールデンウィークを迎え、どのような連休をお過ごしでしょうか。さて、今回ご紹介する映画は、夫婦の在り方について描いた洋画と邦画の二作品をご紹介します。

 新作イギリス映画『さざなみ』。結婚生活45年を迎え、平凡だが幸せな毎日を送る熟年夫婦ジェフとケイト。ある日夫のもとに一通の手紙が届く。それは行方不明となっていた女性の遺体を発見したという知らせだった。この手紙をきっかけに二人の静かな日常がざわめきはじめる。出演は『スイミング・プール』のシャーロット・ランプリング、『長距離ランナーの孤独』のトム・コートネイ。2015年ベルリン国際映画祭銀熊賞ほか国際映画祭で受賞多数。監督は、『ウィークエンド』のアンドリュー・ヘイ。原題の『45 YEARS』をそのまま使用せず、『さざなみ』としたのは秀逸。静かに、そして確実に押し寄せる波の音にぜひ耳を澄ましてみてください。

 

スクリーン1『さざなみ』(2016

上映期間:57日(土)〜63日(金)


 もう一作品の邦画は、第82回キネ旬ベスト・テン第二位の『ぐるりのこと。』。結婚から10年の夫婦の歩みを1990年代の社会情勢と共に描いた物語。あることをきっかけに希望を失った妻と、一見頼りないが妻を愛する夫の姿を描いた名作。妻翔子役には、初主演の木村多江。法廷画家の仕事をする夫カナオ役にはリリー・フランキー。二人の演技はこの年の数々の映画賞に輝いた代表作。傷つきながらも光と影のもとで生きる人間の姿を見つめ続けるリリーの演技はしなやかでありながらも芯に強さがある。木村の苦悩する涙には胸が裂けるがやがて輝きの色を取り戻す。

 

 また、今年度キネ旬ベスト・テンにて堂々第一位に輝いた橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』から7年ぶりの長編映画『恋人たち』も、5月13日まで合わせて当館スクリーン2にて上映中。絶望の淵に追いやられた人間の苦悩と目に見えない格差社会の中で、それでもなお輝こうとする光を橋口監督は描く。出口を見失った主人公たちが、人々との関わりの中でゆっくりと再生する姿に、「冬来りなば、春遠からじ」という言葉を思い起こす。花のように春には「ぐるり」と再生する。人間の強さを感じさせる映画です。どうぞお見逃しなく!(出町光識)

 

キネマ旬報ベスト・テン2000年代特集

スクリーン3『ぐるりのこと。』(2008

 上映期間:57日(土)~513 日(金)