Lets go to the Movie Theater 7月号『グランドフィナーレ』『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』

スクリーン1『グランドフィナーレ』(2015)
上映期間:7月2日(土)~7月22日(金)

 


 蒸し暑い日が続く頃、涼しげなアルプスの景観と、スターの熱演が見られる映画をご紹介。

まず1本目は、『グランドフィナーレ』。
 アカデミー助演男優賞を2回受賞しているイギリスが誇る名優マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダなど、当劇場のスクリーンではお馴染みの豪華俳優がそれぞれに光を放つ。
 物語はアルプスの高級ホテルを舞台に、80歳で現役を引退した作曲家フレッドが、女王陛下からの上演依頼を拒否する場面からはじまる。オペラ歌手の妻のための作品を、ある理由から上演できないからだ。休暇を共に過ごす親友の映画監督ミックをはじめ、様々な問題を抱えた宿泊客との交流を通じて、やがてフレッドの気持ちに変化が訪れる…。
 誰もが羨むような頂点を手に入れた彼らは、どことなくサナトリウムでの療養者にみえてくる。成熟した彼らが過去の栄光からどのように「下山」するのかが今作のテーマだ。それぞれの人生の頂点からの下り方に注目したい。また、作家トーマス・マンが『魔の山』を執筆したといわれる伝説のホテルをロケに使用した点も見所。

スクリーン2『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』(2015)
上映期間:7月9日(土)~7月22日(金)


 

 もう一作は、人間と犬との共存をめざす、『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』。カンヌ国際映画祭「ある視点部門」のグランプリ&パルム“ドッグ”賞受賞作品。
 ハンガリーに住む13歳の少女リリの父親は、娘が可愛がっていた愛犬ハーゲンを捨ててしまう。リリは必死でハーゲンを探し回るが見つからない。一方、ハーゲンは安住の地を求めて街を彷徨っていた。やがてハーゲンは人間に虐げられてきた保護施設の犬たちを従え、人間たちへの反乱をはじめる…。今作は何といっても主役犬バーゲンをはじめとする、250匹の犬の演技が素晴らしい。出演している犬は、保護施設で殺処分されるはずだったのを調教され、映画出演後には、全てが里親の元へ引き取られたそうだ。
 「ドッグ=DOG」は、逆さに並び替えると「ゴッド=GOD(神)」。「ホワイト・ゴッド」というタイトルに込められたテーマ、人間の利己的な部分があぶり出される。サミュエル・フラー監督の『ホワイト・ドッグ 魔犬』(1982年)と併せて観ることをお薦めしたい。(出町光識)

*朝日まつど新聞7月号より