『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』『シング・ストリート 未来へのうた』

★スクリーン1

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』(2016)
上映期間:10月1日(土)~10月28日(金)


秋の深まりに豊かな実りを感じる季節。映画鑑賞でも「学び」の深まりと、若者が「夢」を実らせる映画を2作品ご紹介します。

 

 1本目は、フランスの高校を舞台にした実在の物語、『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』です。パリ郊外にあるレオン・ブルム高校には、多くの貧困層の生徒が通っていた。その中でも、ベテラン歴史教師アンヌの学級は、やる気のない生徒が集まり、他の教師からも敬遠されている。29もの多様な民族の生徒が集まり、なかなかクラスは1つにまとまらない。アンヌは、生徒を前に退屈な授業はさせないと、全国歴史コンクールへの参加を提案。しかし、“アウシュヴィッツ“という難しいテーマに、彼らは戸惑い反発するがやがて少しずつ挑戦をしていく。

 

 この作品は、アハメッド・ドゥラメが、高校時代の体験を描き、映画監督マリー=カスティーユ・マンシオン・シャールに一通のメール送ったことがきっかけとなり映画化が実現した。ユダヤ人が迫害を受けた事実と、現在、生徒たちが抱える宗教と人種問題とを重ねることで、観客の心を揺さぶる。多様化の岐路に立つ日本には必見の感動作だ。

 

スクリーン1

『シング・ストリート 未来へのうた』(2016)
上映期間:10月8日(土)~11月18日(金)


 2本目は、アイルランドの高校を舞台に描かれた『シング・ストリート 未来へのうた』。

80年代の経済不況のダブリン。父親の失業により、主人公コナーは荒れた公立校に転校させられ虐めの洗礼を受ける。家では両親の夫婦喧嘩が絶えず、唯一の救いは、引きこもりで音楽好きな兄ブレンダンと一緒に、ロンドンの音楽番組を見ている時が唯一の幸せの時間だった。ある日コナーは、街角で大人びた少女ラフィナに心を奪われ、その場の勢いで、自分のバンドのプロモーションビデオに出演して欲しいと声をかけた。その後、バンド結成に向けて奔走する。

 

 この作品は、人気の音楽映画『はじまりのうた』『ONCEダブリンの街角で』で知られるジョン・カーニー監督による半自伝的物語で、監督の音楽の原点を見ることが出来る。コナーの苦悩や葛藤だけでなく、ラフィナや兄ブレンダンの抱える悩みが、優しい行動へと変わるシーンに目頭が熱くなる。自らの夢を捨てた兄が弟に尽くす姿、そして「悲しみの喜びを知れ」というエールも印象的だ。ぜひお見逃しなく!出町光識

(朝日まつど新聞 2016年10月1日号:記事から)