『ラサへの歩き方〜祈りの2400㎞』『シアター・プノンペン』

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 『ラサへの歩き方〜祈りの2400㎞』

 

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『シアター・プノンペン』

 

新年明けましておめでとうございます。

 今月はそれぞれの国や地域の精神の継承を描いたアジア映画をご紹介します。

 1本目は、チベットの聖地ラサへの巡礼を描いた中国映画『ラサへの歩き方〜祈りの2400㎞』です。

 この作品は、チベットの山奥で生活する3つの家族が、聖地ラサと、聖山カイラスの巡礼に向かう様子を描いた映画です。2400kmもの距離を、ただ歩くのではなく、「五体投地(ごたいとうち)」という、数歩ごとに一度跪き全身を大地に投げ出すような姿勢で祈りをあげながら、約1年をかけて歩くという途方もない巡礼なのです。

 登場する巡礼者は、同じ村に住む11人の老若男女たち。実在する村人が本人役を演じており、家族構成やその背景など全て事実に基づいています。フィクション映画でありながら、ドキュメンタリーの記録という斬新な手法で描かれています。

 この作品は、政治的な主義主張はありません。しかし、「五体投地の巡礼」という日常の風景が静かに淡々と描かれることで、チベット精神への少数民族の強い敬意を感じさせ、そのことが、政権に対する強いメッセージとして観るものを圧倒させます。

 2本目の作品は、女性監督ソト・クォーリーカーの初監督作品『シアター・プノンペン』です。

 この作品は、カンボジアのクメール・ルージュ時代に300万人の国民が大量虐殺された事件を映画化した作品。

物語の舞台は、現代の首都プノンペン。女子大生ソポンは、ある日、偶然迷い込んだ映画館で1970年代のポル・ポト政権下に製作された古い映画の中に、若き日の母親が出演していた事実を知る。今はすっかり衰え、父に従順な母親は自分が女優であったことを語ろうとしない…。

 ポル・ポト政権によって、カンボジアの映画人の監督や俳優も多く殺害されてきました。クォーリーカー監督は、殺害された多くの知識人のためにカンボジア映画史を掘り起こし、今なお、虐殺の事実を隠す高官たちを問い正す、強い姿勢が感じられる映画です。

 最後に女優つながりで、邦画も2本ご紹介。1月7日から吉永小百合出演の『青春の門 筑豊篇』を上映。翌週14日からはデビュー間もない大竹しのぶ出演の『青春の門 自立篇』も、お見逃しなく!(出町光識)